夢で、また逢えたら

オペラ、バレエが大好き。2009年に人生で初めてジャニーズの嵐と出会い、V6三宅健が気になりだし、2016年春に華麗なダンスとアクロバットで魅せるSnow Manに完全陥落。Je t'aime et je t'aimerai pour toujours.

「劇場に行こう ①」(2013年10月18日 金曜日)

 

おはようございます。

 

少し前の話になりますが、前々回書かせて頂いた生の舞台「椿姫」 vs 超一流歌手による中継録画「ドン・カルロ

勝敗の勝敗はもちろん生の舞台の「椿姫」。

「やはり、舞台は生で観てこそ。」という気持ちを更に強くした次第です。

 

さて、私が好きなオペラの演目のひとつに「蝶々婦人(Madame Butterfly)」という作品があります。

プッチーニ作曲のオペラですが、ご覧になったことはなくとも、「蝶々婦人」というタイトルを耳にしたことはあるのではないでしょうか?

イタリアのオペラですが、舞台は日本。「君が代」や「さくらさくら」、などが要所に盛り込まれていたり、

アメリカ国家がオペラ音楽の中で実に効果的に使用されていたり、今改めて思いましたが、何だかとてもインターナショナルです。

 

せっかくですから、あらすじを少しだけ、、、、。

 

舞台は長崎。米海軍士官のピンカートンは日本で15歳の蝶々さんと結婚しますが、やがて米国に帰ってしまいます。

当然、その後に息子が誕生しているということすら知らないままです。

彼が帰って数年、その間縁談を持ってこられようが、男が言い寄ってこようが、全てを袖にし、

ひたすら彼の帰りを待ち続ける蝶々さんの元に、ピンカートン所属の部隊の軍艦が入港するとの知らせがやってきます。

 

蝶々さんは嬉しくて嬉しくて外に飛び出し、岸壁から港を見下ろして歌います。

これが大変有名なアリア「ある晴れた日に」です。

 

“ある晴れた日、海の彼方にひとすじの煙が立上がり、やがて船が見える。

真っ白な船が港に入ると礼砲が鳴り響くの。

ごらんなさい、 あの人が来たのよ!

でも迎えには行かない、行かないの。

近くの岬へ出て そこであの人を待つわ。どんな長い時間だとしても、いつまでも待つわ。

すると、港町の群衆から抜けだし、小さな点のように見える1人の人が山を登って向かってくるのが見える。

誰? 誰なんでしょう?

到着したら何て言うのかしら? 何て言うのかしら?

遠くから「蝶々さん」と呼ぶのよ。

でも、私は返事しないで隠れているわ。・

それはちょっとした悪戯でもあるのだけれど、

何より、もう一度会えた嬉しさのあまり死んじゃうかもしれないから。

そしたらあの人は少し心配になって、こう呼ぶの。

『僕のかわいい奥さん オレンジの花』って、、、。

この名前はね、あの人が私に付けてくれたの。

 

(スズキに向かって) *注: スズキというのは女中の名前

この通りになるわ、誓ってもいい。

あなたは心配していればいい。

私は絶対に信じてあの人を待っています。”

 

 

その先の展開がどうなるか既に知ってしまっている私には、会える嬉しさを歌うこのアリアはあまりにも悲し過ぎて、

この辺りで涙が滝のように流れてきます。

歌詞の行間や旋律の中に、その後を読み解く様々なヒントが隠されている奥深いアリアでもあります。

 

かつてM屋のCMで、三木のり平(のアニメ)扮する蝶々さんが、へんてこりんな日本髪のかつらと

鼻メガネでこの歌を歌っており、しばらくの間、私の中では「蝶々さん= M屋ののり平」でした。

おかげで「蝶々さん」をコメディーだと勘違いし、オペラを好きになってからも最初のうちは何だか笑ってしまいそうになっていました。

だけど、まさかこんなに素晴らしい作品だとは!! 私の馬鹿!馬鹿、馬鹿!!!!(両手の拳で頭をポカポカ!)

 

蝶々さんは、彼が自分の元に駆けつけてくれると信じて疑わず一晩中待ち続けますが、彼はやってきません。

「きっと忙しいんだわ。」なんて思いながら、一生懸命髪を整え、化粧をし、一番いい着物を着てただ、ただ待ち続けるのです。

 

翌日、ピンカートンは妻を同伴して蝶々さんの元を訪れますが、女中のスズキから昨夜の一連の出来事を聞き、

驚き、恥じ、反省するも、「自分の口から蝶々さんに話すことは出来ない。」と、耐えきれずにその場を後にします。

 

蝶々さんは、ピンカートンがようやく来てくれたと思い、溢れんばかりの喜びで障子を開けると、

そこには、ピンカートンの妻のケイトがいて、蝶々さんはそこで全てを悟り、絶望します。

そして、蝶々さんの子供を引き取って育てさせてくれという申し出に、更に絶望してしまうのです。

しかし、蝶々さんは気丈に、彼が直々に子供を迎えに来てくれるのなら子供を渡しましょう、と伝えるのです。

 

蝶々さんが仏間で父の形見の短刀を取出すと、何かを察したのでしょうか?

無邪気な幼子が蝶々さんの膝元に駆け寄ります。

蝶々さんは我が子をしっかり抱きしめて別れを告げ、「遊んでおいで。」と子供を部屋の外に出します。

やがてピンカートンが到着しますが、時は既に遅く、蝶々さんは自害を遂げた後でした、、、。

 

全幕を通し音楽が大変素晴らしいのですが、最終幕は「これでもか!」というくらい、ドラマティックな音楽の連続で、

この辺りは、涙と鼻水の大大大洪水。ずるずる鼻をすすったら周りにご迷惑と思い、垂れ流しのままです。

涙をこらえて口はワナワナ、鼻はヒクヒク、涙と鼻水ダラダラ、、、この時の私、最高に不細工です。

 

そう言えばいつだったっけか、、、、隣の席のおじ様も、大きなタオルで口を押え、「あぁうぅぅ、、、」と嗚咽していらっしゃいました。

 

この蝶々さんの唯一の難点が、海外プロダクションに「日本勘違い」的演出が多いこと。

どんなにオーケストラや歌手が良くても、私は日本を勘違いした演出は許しません。

海外オペラハウスの「蝶々さん」には今まで何度腹を立てたことか、、、実際、鼻から炎を出しそうになったことが何度もあります。

「蝶々婦人」だけは、総合点で、日本のカンパニーのプロダクションが格段に良いと信じております。

 

さて、なぜこんな話をしたかというと、

そんな鼻息荒い私が、皆様に自信を持ってお薦めしたいのが、来年1月に、新国立劇場で上演される「蝶々婦人」。

21,000円のS席まで用意されていますが、D席は3,150円。少し頑張ったC席で6,300円。

オペラグラス必須の席になりますが、それでも新国立劇場はまだ観やすいと思います。

オペラは敷居が高いと思っていらっしゃる方にも良心的な価格設定、且つ素晴らしいプロダクションですので、

オペラ・デビューを考えてはいるけれど、躊躇して、今一歩足を踏み出させない方々の背中を押すべく、

本日は長々と「蝶々婦人」のお話をさせていただきました。

 

オペラは生の舞台が一番。さぁ、劇場に行きましょう!