「ドン・カルロ」マリインスキー・オペラ(2016年10月10日)東京文化会館
10月10日に母と2人でマリインスキーオペラ「ドン・カルロ」鑑賞に行ってきました。
ゲルギエフが指揮するマリインスキー・オケ演奏@マリインスキー・バレエは今までにも何度か聴いたことがありますが、マリインスキーの「オペラ」を生で鑑賞するのは初めて。映像でしか観てこなかったマリインスキー・オペラがいよいよ生で観られる!聴ける!ゲルギー( = 指揮者のヴァレリー・ゲルギエフ)が拝める!
今までにも不定期に来日公演があったものの、なんだかスケジュールが合わなかったり、立続けの来日オペラハウス公演に金欠で諦めたり、と縁がなかったのです。
実は、今回も翌月に目が飛び出そうな値段のウィーン国立歌劇場が控えているということ、最近クラシック以外(= ジャニゴトです)の予定が立て込んでいて金欠に拍車がかかっていることもあり、散々悩んだのですが、うーーーーーーーん、思い切って行こう!と決めました。そして、もちろん行った甲斐がありました。
今回、キャストはもちろんですが、オケがバレエでの演奏とオペラでの演奏をどう違えてくるのかを確認するのが本当に楽しみでした。
そもそも、バレエの演奏は二軍オケというのは一般的なのですが、マリインスキーバレエの来日公演の際は1日か2日、必ずゲルギー指揮で一軍オケが演奏する日が設けられているのです。マリインスキーではもはや定番ですが、一般的にはなかなかそんな機会はないので毎回ゲルギー指揮のバレエが楽しみなのです。
話が逸れました。
まずはオケ。これはもう職人。トップの職人の仕事です。
主張しないオケ。屋台骨をしっかり支えるとでも言いましょうか、ゲルギーの下でとにかく演奏に徹しているところがロシアのオケらしくて。
但し、主張しないといっても単におとなしいとか地味な演奏なのではなく、とにかく最高レベルでの安定。バレエの時の軽やかさはさすがになくて、ここはやはりオペラ。歌い手を引き立たせるしっかりとした演奏でした。
メインのオペラはというと、楽しみにしていたフィリッポ2世役のフェルッチョ・フルラネットが期待通りの素晴らしさでした。
ドン・カルロ役のヨンフン・リーは1幕終盤からようやく調子が上がってきて、見せ場のロドリーゴ役のアレクセイ・マルコフとの「神よ、あなたの魂に」に間に合いました、良かった。。。。これはもう私のテッパン曲のひとつですから、これにこけられると後はもう聴く気にならなくなってしまうもので、肝になる一曲でもあるのです。欲を言えば、もう少し声量が欲しかった。
今回、マリインスキーにキャストされた男性陣は全て素晴らしくて、特にロドリーゴ(アレクセイ・マルコフ)。彼の歌う最期のアリア「私の最後の日」を聴きながら涙が止まりませんでした。これもテッパンなんですよね。。。
エボリ公女役のユリア・マトーチュキナも私の好きなタイプのソプラノで、高音が艶やかで伸びがあり、ロシアの歌手の層の厚さを再認識しました。
私は喉に引っかかるような歌い方をするソプラノが好きではないのですが、エリザベッタ役のヴィクトリア・ヤストレボヴァがそれで、聴きながら喉がイガイガ、、、、うーん。彼女は若くて美しい若手の歌手なので、今後はきっと諸々伸びていくでしょうからいい方向に行ってほしいものです。
合唱も声の層が厚く、さすがでした。
さて、書きたいことはたくさんあったのだけれど、2週間ちょっと経つと記憶も感動も薄れてしまいます。やはり面倒でも毎回きちんと書いたほうがその時の感動を文字にできるのかもしれないですね。備忘録として残せていると、読み返した時にその時の感動も一緒に思い出せますもんね。
母はその翌週「エフゲニー・オネーギン」を観に行き、今まで見たオネーギンの中で一番良かったと話していました。やはりロシアものはロシアのオペラハウスに限る、と大絶賛でした。
私は諸事情により土壇場になっていくのを諦めたのですが、まさに後悔先に立たず。あとに立ちました。。。。立ちまくっています(涙)。
舞台は一期一会、値段は高いけれど、それなりの価値があるものです。その価値以上の素晴らしい舞台に出会った時は心も身体も震えます。
今回の件も含め、体とお金が許す限り、本当に行きたいものは思い切ってしまったほうが後悔はないということも再認識したのでした。(でも、そう言い訳しながらいつも舞台鑑賞に飛び回っているため、私の財布はかなり薄く、最近は老後が心配になってきた。)
ウィーンの来日公演は3演目提げて来ますが、お値段はマリインスキー以上に高いので、今回は選りすぐって1演目のみの鑑賞です。
以前テレビで、ベルリン・フィルのコンマスをされている樫本大進氏が、ワーグナーを完璧に演奏できるのはベルリン・フィルとウィーン・フィルだけと話していました。
私もゲルマン・オペラはゲルマン・オケに限る!と思っていますので、これは絶対に見逃せません。今からもう楽しみで仕方ありません。